車検の基礎知識
車検とは?
車検とは、正確には「自動車検査登録制度」と呼ばれ、車両が道路運送車両法に定められた安全・環境基準を満たしているかどうかを確かめる検査のことを言います。
公道を走るすべての車は車検を受けることが義務付けられており、車検の有効期限が切れた状態で公道を走行すると、罰金や罰則の対象となります。
車検の有効期限
車検は定期的に受けることが義務付けられており、自家用乗用車の場合は新車登録の3年後、以降は2年ごとに受ける必要があります。
車検の有効期限は、フロントガラスに貼られた「検査標章」で確認することができます。
車検は満了日の1ヶ月前から受けることができ、いつ受けても次回の満了日は変わらないため、「早く受けたら有効期限が短くなってしまう」ということはありません。
| 車種 | 初回 | 2回目~ |
|---|---|---|
| 自家用乗用車 | 3年 | 2年 |
| 軽乗用自動車 | 3年 | 2年 |
| バス・タクシー | 1年 | 1年 |
| レンタカー | 2年 | 1年 |
| 軽貨物乗用車 | 2年 | 2年 |
車検の際にかかる費用
車検を受ける際には、税金等の国に支払う法定費用と、点検・整備にかかる費用がかかります。法定費用のうち「自動車重量税」「自賠責保険料」はどこで車検を受けても同じ金額となります。
| 項目 | 内容 | 支払先 |
|---|---|---|
| 自動車重量税 | 車の重量によって税額が決まる税金 | 国 |
| 自賠責保険料 | 法律によって加入が義務付けられている保険 | |
| 印紙代 | 自動車検査証の交付を受ける為の費用 | |
| 車検基本料 | 点検・整備に伴う作業費用 | 店舗 |
| 法定点検料 | 保安基準に適合しているかを点検するための費用 | |
| 事務手数料 | 車検証更新手続きを行うための費用 |
車検を受ける方法
車検を受ける場合、大きく分けて次の5つの方法があります。
1ディーラー
車を購入したディーラーで車検を受けることが可能です。自社メーカーの車に精通したメカニックが在籍しており、丁寧な点検と高品質な整備が受けられることが特徴ですが、その分費用は高くなる傾向があります。部品交換の際もメーカー純正のパーツを使用するため、社外品を使用するケースと比べ高額になります。
2整備工場
多くの整備実績があり、経験豊富なメカニックが多数在籍しているのが特徴です。費用もディーラーに比べ安く抑えられる傾向がありますが、一方で土日が休みの工場も多く、平日は時間がとれないという方には利便性に欠ける面もあります。
3カー用品店・中古車販売店
カー用品店や中古車販売店の中には、車検を受けられる店舗もあります。部品や消耗品は豊富な品揃えを確保しており、スムーズな整備が可能です。店舗独自の特典を設けているところもあります。
4ガソリンスタンド
ガソリンスタンドで車検を受けるメリットとしては、営業時間が長く休日も営業している店舗が多いため、自分の都合に合わせて車検を依頼できる利便性が上げられます。店舗の立地もアクセスの良い場所が多く、また車検実施特典としてガソリン給油や洗車等の様々なサービスがある場合もあります。
5ユーザー車検
業者に依頼せず自分で車検を受けることです。店舗に支払う車検基本料や法定点検料等がかからなくなるため、費用は最も安く抑えることができますが、手続きをすべて自分で行う必要があり、万が一検査に通らなかった場合の整備も自身で行う等、専門的な知識や技術が必要になります。
車検の内容
車検では、「公道を走る上で安全面・環境面に問題がないか」をチェックするため、以下のような検査が実施されます。
1同一性の確認
車検証に記載されている内容と実際の車両が同一のものであるかを確認します。エンジンに打刻されている番号と車検証の車台番号をチェックし、不正に改造されていないか等もチェックします。
2外回り検査
ヘッドライド等の灯火類の動作確認、ホイールナットの緩み確認、ワイパーやクラクションの動作確認等を行います。ホーンマークやコーションラベル、発煙筒の有効期限などもチェックします。
3サイドスリップ検査
ハンドルを操作せずに走行し、車がまっすぐ走るかを確認します。1m走行した時の横滑り量が5mmを超えると、基準不適合となります。
4ブレーキ検査
フルブレーキがしっかり効くか、左右の制動力差が小さいか、パーキングブレーキが効いているか等をチェックします。タイヤが接地するローラーの回転をブレーキで止められるかで合否を判定します。
5スピードメーター検査
スピードメーターが示す速度と実際の速度の誤差を計測します。メーターが時速40kmを示すまで加速し、その時点での実際の速度の誤差が基準内に収まっているか確認します。
6ヘッドライト検査
ヘッドライトの光量や光軸を検査します。2015年からハイビームではなくロービームの検査に移行し、対向車への眩惑を防ぐカットオフラインが規定内にあるか等を厳しくチェックします。
7排出ガス検査
マフラーから排出されるガスに含まれるCO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)の濃度を計測します。濃度が高すぎる場合、環境汚染に繋がるとされ、不適合となってしまいます。
8下回り検査
ドライブシャフトブーツの劣化やオイル漏れ等が無いかチェックします。車をリフトで上げて、下から見上げる形でブレーキやハンドルを操作しながら目視で確認していきます。
車検に必要なもの
車検を受ける際には、以下のものが必要です。
- 自動車検査証(車検証)
- 自賠責保険証
- 自動車税納税証明書
- 法定費用
その他、追加で整備や交換が必要になった際の整備費用等がかかる場合があります。
車検が切れた場合
車検の有効期限を過ぎてしまった場合でも、それだけでは違反にはなりません。ただし、その状態で公道を走行すると「無車検運行」となり、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金・違反点数6点で30日間の免許停止となります。また、多くの場合は車検と同時に自賠責保険に加入しているため、「無保険運行」にもなる場合が多く、両方に違反した場合1年6ヵ月以下の懲役または80万円以下の罰金・違反点数6点で30日間の免許停止となります。
もし車検が切れてしまった場合は、検査場までレッカー等を手配するか、市区町村で仮ナンバーを申請して一時的に走行できるようにします。
法定点検との違い
法定点検は、車検と同様に受けることが義務付けられており、自家用乗用車は1年ごとの「12ヶ月点検」、2年ごとの「24ヶ月点検」を受ける必要があります。
車検はあくまで「車が保安基準に適合しているか」の検査であるため、その後の安全性を保証するものではありません。
一方、法定点検は故障やトラブルを未然に防ぎ、安全に走行できる状態を保つための点検です。
24ヶ月点検は、車検と同時に行うのが一般的です。